農業日記
concept コンセプト
生産者の高齢化や後継者の不在などの理由によって、米づくりや梨づくりを止めてしまった先輩農家の田んぼや果樹園を受け継ぎ、代わりに農産物を生産します。また、農家の皆さんが培ってきた、米づくりや梨づくりの知恵や技術、なにより、“農家のプライド”を受け継ぎ、次世代へと伝えていきます。
attempt 取り組み
農業生産法人として、福島の農業を守り、
日本の食を守っていく
生産者の高齢化と後継者不足に悩む日本の農業。なぜ、農業は人気がないのでしょうか?「農業は天候に左右され、収益が安定しない」「農繁期は朝から晩まで休むヒマもない」。確かにそうした面があるのも事実です。しかし、現状のままでは日本の食糧自給率は下降するばかりです。
私たちは、農業生産法人というカタチを取り、給与体系や福利厚生、就業規則の整備を進め、若い人たちが働きやすい環境づくりをすることで、生産者の高齢化や後継者不足に悩む日本の農業の受け皿になりたいと考えています。それがひいては福島の農業を守り、日本の食の未来を守ることにも、つながるからです。
エムケーファームの“農業を未来へつなぐ”しくみ
耕作放棄地の活用
- 農作物を栽培しなくなった水田や果樹園を所有
- 離農された方から水田や果樹園を借りる
- 生産物や、土地代で還元する
-
1
高齢や、後継者不足などで
離農を検討されている方から
田んぼや果樹園を借りる -
2
土地の面積に合わせ、
収穫した農産物や土地代で還元する -
3
先輩農家が培った知識や技術を
教えてもらう
耕作放棄地活用のしくみ
田んぼを貸してくれた人
離農された農家のおひとり
宮島さん(農業をやめて今年で3年)
50年以上、お米をつくり続けてきた大先輩。一時は約5町歩もの田んぼを所有されていましたが、2014年、後期高齢者になったことをきっかけに離農され、手塩にかけてきた田んぼを他の農家に貸すことを決意されました。エムケーファームとは2015年からのおつきあい。現在はお借りしている田んぼの面積に合わせて、コシヒカリをお渡ししています(お米ではなく、土地代をお渡しする約束で契約している方もいます)
農地・農業をつなぐ
エムケーファーム
エムケーファームでは現在、宮島さんを含め約20人の方から水田や果樹園をお借りしています。農作物がつくられなくなった田んぼや畑、果樹園は、あっという間に荒れていきます。農業生産法人として、安定して収益を上げることが大前提。でも、同時に宮島さんのように、高齢などの理由で離農した方から田んぼや果樹園をお借りして、米や梨をつくり続けることで、遊休農園を少しでも減らすお手伝いをしていきたいですね
水田や果樹園を
引き継いで、
先人が培ってきた
農業の技術や知識を守る
若い人が働きやすい環境作り
- 朝8時に出勤
- 仕事
- 夕暮れには作業終了
- 1 休日は年間105日を確保
- 2 福利厚生がしっかりしている
-
3
収益を上げ、それに見合う
給与を支払う
会社の組織作り
「朝早い」というイメージのある農業。ときには「朝5時に畑」という日もありますが、それは「どうしてもやらなくてはならない作業があるとき」だけ。暗くなると作業ができなくなるため、基本的には日が沈んだら帰宅します(もちろん残業する日もあります)
収穫や手入れで毎日忙しい農繁期。「休日出勤」しなければならない月もありますが、その場合は、農閑期(11月~2月頃)などにまとめて長期休暇をとれるように調整しています。
若い人も安心して
働きやすい環境
農業をたやさない
Our WORK つくっているもの
先輩農家の思いを受け継ぎ、
おいしいお米をつくる
小 野 遼 亮 /Ryosuke Ono
田んぼは農家の“プライド”。大切に守り育てたい
私たちは「田んぼは“農家のプライド”を背負っている」と思っています。きれいに草が抜かれ、稲がのびのびと育っている田んぼは、清々しくてきれいだし、「俺はおいしい米をつくるために頑張っている」と胸を張る農家の姿が見えてくるようです。一方、雑草が伸び放題の田んぼは「手入れをさぼっているんだな」と思うし、おいしいお米をつくっているようには見えません。先輩農家の皆さんは、私たちを信頼して田んぼをあずけてくれました。だから、誰が見ても「この田んぼはきれいだな。手入れが行き届いているな」と感じる田んぼを目指したいですね。
吾妻山が見守る地で、天戸川の清流に育まれるお米
現在、約20人の方から田んぼをお借りして、「コシヒカリ」と「天のつぶ」を栽培しています。面積は全体で約15ha程度ですが、福島市内中に点在しているので、田んぼを見回るだけで大変。全量「コシヒカリ」にしなかったのも、収穫期をずらすためです。ほとんどの田んぼが吾妻山の麓に位置しています。春になり、雪が融けると吾妻山には、「雪うさぎ」が表れます。
吾妻山の麓にある田んぼを潤すのは、天戸川(あまどがわ)。渓流には「澄んだ水にしか生息しない」と言われるヤマメが潜んでおり、渓流釣りをされる方には、ひそかな人気スポットなのだそうです。春になると、天戸川の土手一面に菜の花が咲き、黄色一色に染まります。その向こうには、種まきシーズンの到来を告げる「雪ウサギ」。私たちも代掻きの準備に入ります。
1枚1枚違う、
田んぼの個性を
見極めながら
米づくりが難しい、大変だと感じるのは、天候に左右されやすいこと。雑草が繁殖して、除草剤を散布しても効果が得られず、自分たちの手で1本1本、雑草を引き抜いたこともあります。
田んぼは1枚1枚、個性が違うんです。代掻きが1回で済む田んぼもあれば、2回やって、土地を軟らかくしてあげないと稲がうまく育たない田んぼもある。田んぼを貸してくれた方や肥料屋さん、県の指導員さん。さまざまな方のアドバイスを大切にしながら、お借りしている田んぼを守っていきたいと思います。
“くだもの王国ふくしま”を
守るために
鈴 木 優 太/Yuta Suzuki
「実を付けさせる」のが果樹農家の仕事
現在、長年果樹園を営んでいた先輩農家に栽培の仕方を教えてもらいながら、約2.5haの果樹園をお借りして、梨を栽培しています。最初におそわったのは、剪定作業です。庭師をしていたので、剪定に関する基本的な知識と技術はありましたが、庭師の剪定は「樹木のカタチを整えるためにするもの」で、果樹農家の剪定は「実をつけさせるためのもの」。根本が全く違うんですね。実際にやってみないと身に付かないことばかりです。今もJAが実施している農業剪定指導会などに参加して、日々勉強しています。
不要となった梨の木の移植も行いました
“くだもの王国”といわれる福島市ですが、生産者は高齢化しています。後継者も見つからず、このままでは止めていく先輩農家が増えていくのでは…と危惧しています。エムケーファームでは、果樹園を借りるだけでなく、果樹そのものをもらい受けることもあります。2016年秋には、梨出荷組合の組合員の方から、不要になった梨の木をいただきました。果樹園をお借りするだけでなく、トラックで木をもらいうけ、みんなで力を合わせ、先輩農家から借りている果樹園に移植する作業を行いました。こうした取り組みが少しでも“くだもの王国ふくしま”を守ることにつながれば…と考えています
「おいしい」のひと言と
笑顔のために
大変なこともありますが、農産物は正直なんですよね。米も梨も、手をかければかけた分だけ、しっかり丈夫に育ち、おいしくなります。家族や友達が「おいしい」と言ってくれるのもうれしいのですが、元々先輩農家から梨を購入していた方が、「おいしかった」と言っていたというお話を聞くと、うれしいし、ホッとしますね。これからも先輩農家の皆さんが培ってきた知識や技術を大切に、“農家のプライド”を守りながら、おいしい梨をつくっていきたいと思っています。
stuff スタッフ紹介
先輩農家に信頼してもらえるような仕事をしていきます
鈴 木 優 太/Yuta Suzuki 担当: 梨づくり
京都の造園業者で庭師をしていましたが、結婚を機に故郷にUターンし、2014年、エムケーファームに入社しました。樹木を手がけていたことから、梨を担当することになりましたが、造園と果樹の栽培は全く違うものだと感じています。先輩果樹農家に「エムケーファームだったら、自分の果樹園を任せてもいい」と言っていただけるような仕事をしていきたいです。
「おいしいね」のひと言のため頑張ります
小 野 遼 亮 /Ryosuke Ono 担当: お米づくり
前職は土木関係でしたが、知り合いに紹介され、2014年に入社しました。現在は稲作を担当しています。農業は全くの初心者ですが、「福利厚生がしっかりした農業生産法人ができたと聞いて、エムケーファームに興味を持ちました。自分がつくったお米を「おいしい!」と言って、喜んで食べてくれる人がいる。収穫の喜びを感じています。
Company Profile 会社案内
企業理念Creating
Shared
Value
- 耕作放棄地の活用
- 農業従事者の高齢化に伴う後継者不足の解消
- 農業体験・学習により、農業の担い手を発掘する
- 福島農産物のアピール、風評被害の払拭
会社名 | 株式会社エムケーファーム |
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事務所所在地 | 〒960-2261 福島県福島市町庭坂字遠原二4番地2 TEL 024(563)6910 |
創業 | 平成25年12月13日 |